2024 調査報告書

デジタルアクセシビリティに対する消費者の視点

法的要件や顧客体験に与える影響から、デジタルアクセシビリティはビジネスに不可欠なテーマとなっています。しかし、その取り組みは十分行われているのでしょうか?アクイアでは、障がいを持つユーザーがデジタルアクセシビリティの状況をどう認識しているか、また彼らの経験がブランド認知やロイヤルティにどのような影響を与えるのかを理解するために調査を行いました。

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デジタルアクセシビリティは、今や「あったらいいな」ではなく、ビジネス上の必須事項であるという認識が高まっています。法的要件や規制要件の拡大だけでなく、デジタルアクセシビリティが顧客体験、ブランドの評判、および収益に与える影響に対する認識も高まっているため、アクセシビリティをデジタル体験の設計と提供の中心的な要素として組み込むことが推進されています。

デジタルアクセシビリティの現状に関する多くのレポートでは、コンプライアンスの懸念や、デジタルアクセシビリティに対処するための組織の方針、構造、リソースに関するビジネスリーダーの視点が検討されています。アクイアでは、ユーザー(特に障害を持つユーザー)が、デジタルアクセシビリティの現状をどのように認識しているのかという、もう一方の側面を理解したいと考えました。そして、彼らの体験は、彼らがオンラインで接する組織にどのような影響を与えるのでしょうか? 
このような疑問に答えるため、ResearchScape 社に依頼し、障がいのあるウェブサイトユーザーがサイトやその他のデジタル体験で遭遇するアクセシビリティ上の課題の頻度や種類、そしてこれらの体験がブランドの認知度やロイヤルティにどのような影響を与えるかを調べるオンライン調査を実施しました。2024年4月に実施されたオンライン調査では、米国、カナダ、英国、オーストラリアの1,265人から回答を得ました。結果は以下の通りとなります。

ユーザーが遭遇するアクセシビリティ障壁の頻度と種類

ブランドによって提供されるウェブサイトやその他のデジタル体験で、アクセシビリティの問題に遭遇する頻度はどれくらいですか?

参加者の89%が、ブランドによって提供されるウェブサイトやその他のデジタル体験との対話を困難にするアクセシビリティの問題に遭遇すると回答しています。調査参加者の合計18%が、デジタルアクセシビリティの問題に「よく遭遇する」(13%)または「ほとんどいつも遭遇する」(5%)と回答し、43%がデジタルアクセシビリティの障害に「時々遭遇する」と回答しています。ウェブサイトとのやり取りを困難にするアクセシビリティの問題に「遭遇したことがない」と答えた回答者は、わずか11%にとどまりました。

データをさらに詳しく見ると、回答者が男性であっても女性であっても、デジタルアクセシビリティの問題に遭遇する頻度はほぼ同じであると回答しています。しかし、若い世代ほどデジタルアクセシビリティの問題に遭遇する頻度が高いと回答しています。ミレニアル世代の回答者の25%、Z世代の回答者の36%が、アクセシビリティの問題に「よく遭遇する」または「ほとんどいつも遭遇する」と回答しているのに対し、ブーマー世代では16%、X世代では14%でした。また、世帯収入が高い人ほど、アクセシビリティの問題に遭遇する頻度が高いという報告もあります。世帯収入が10万ドル以上と答えた人の27%が、アクセシビリティの問題に「しばしば遭遇する」または「ほとんどいつも遭遇する」と答えています。

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デジタルプラットフォームやサービスを利用する際に、どのようなアクセシビリティの問題に直面することが多いですか?

残念ながら、調査参加者のこれまでの体験には、さまざまなアクセシビリティに関するエラーが見られます。デジタルプラットフォームやサービスを利用する際によく遭遇する課題について複数を挙げてもらったところ、アクセスしにくいウェブサイトのデザインやレイアウトに遭遇すると答えた人が最も多く(31%)、次いで、キャプションやトランスクリプトのない動画/音声コンテンツ、キーボードナビゲーションのオプションが不十分であると答えた人が続きました(いずれも24%)。また、ラベルのないフォームフィールドやボタン(21%)、貧弱なコンテンツのコントラストや色の選択(20%)、画像の代替テキストの欠如(19%)によく遭遇すると述べています。 

ブランドが提供するデジタルプラットフォームやサービスでアクセシビリティの問題に遭遇したとき、どのような不満を感じますか?

障がいを持つユーザーが遭遇するアクセシビリティの問題の数は、それらのエラーによって生じるイライラのレベルと一致しています。回答者の半数近く(45%)が、デジタルプラットフォームでアクセシビリティの問題に遭遇したときのフラストレーションのレベルを、「とてもイライラする」または「極めてイライラする」と評価(それぞれ33%と12%)。44%は「多少イライラする」と回答し、「ほとんどイライラしない」または「まったくイライラしない」と回答したのはわずか11%でした(それぞれ7%、4%)。
 

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回答者の93%が、自分たちが関わるブランドがデジタル体験においてアクセシビリティを優先することが重要だと答えている。

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デジタルアクセシビリティの課題がもたらすもの

ウェブサイトでアクセシビリティの問題に遭遇したとき、そのブランドに対してどのような感情を抱きますか?

アクセシビリティの問題が広がっているだけでなく、その影響も同様に拡大しています。上記と同様、調査参加者はウェブサイトでアクセシビリティの問題に遭遇したとき、そのブランドに対して不満を感じると最も多く答えています(71%)、58%は失望を感じ、24%は怒りを感じると回答。次いで、排除された(18%)、重要でない(14%)、無関心(9%)、恥ずかしい(8%)という感情が続きました。特に強い反応として、参加者のほぼ10人に1人(7%)が、アクセシビリティの問題に遭遇したとき、「軽視されている」と感じたと報告しています。
 

ブランドが提供するデジタルプラットフォームやサービスを利用しているときにアクセシビリティの問題に遭遇した場合、どのような行動を取る可能性が高いですか?

アクセシビリティの問題が発生した場合、どのような手段を取る可能性が最も高いか尋ねたところ、回答者の51%が、アクセシビリティの高い代替手段を探す可能性が最も高いと答え、回答者の42%がそのブランドのサービスの利用を中止すると答えており、これは組織の収益に直接影響することになります。34%は直接企業に対して苦情を言うと回答。3分の1近く(31%)は、アクセシビリティの問題について家族や友人に話すと回答し、20%はソーシャルメディアで経験を共有すると回答しました。これは、問題を直接経験したユーザーをはるかに超えて、ブランドの否定的な認知の波及効果を引き起こしてしまうと言えるでしょう。

アクセシビリティの問題に遭遇した後、そのブランドや組織のデジタルサービスやプラットフォームを使い続ける可能性はどの程度ありますか?

デジタルアクセシビリティを優先しないブランドは、オーディエンス、ひいては顧客を失う大きなリスクに直面しています。アクセシビリティの問題に遭遇した後、そのブランドのデジタルサービスやプラットフォームの利用を継続する可能性が「非常に高い」と答えた回答者はわずか7%に過ぎず、「とても高い」と答えた回答者はわずか15%に過ぎません。あまり楽観視はできないものの、43%はそのブランドのデジタルサービスを使い続ける可能性が「ある程度ある」と答え、26%は「ほとんどない」または「まったくない」と答えています(それぞれ25%、1%)。

特定のブランドのデジタルプラットフォームでアクセシビリティの問題にいつも遭遇する場合、より優れたアクセシビリティ機能を持つ競合他社への乗り換えを検討しますか?

調査回答者の半数以上(62%)が、特定のブランドのデジタルプラットフォームでアクセシビリティの問題に常に直面した場合、より優れたアクセシビリティ機能を持つ競合他社への乗り換えを検討すると回答。29%は「わからない」と回答していますが、デジタルアクセシビリティの問題が続くブランドに忠誠を誓うと回答したのはわずか9%にとどまりました。

より詳細なデータを見ると、男性と回答した人ほど、より優れたアクセシビリティ機能を持つ競合他社に乗り換える可能性が高いと回答しました(男性の65%が「乗り換える」と回答し、「わからない」と回答したのはわずか24%であったのに対し、女性は「乗り換える」と回答したのが59%、「わからない」と回答したのが33%)。世代間の差はより顕著で、若い世代は上の世代よりも乗り換えを検討する意向がかなり高いという結果がでました(Z 世代の67%とミレニアル世代の66%が競合他社に乗り換えると回答しているのに対し、X 世代と団塊世代の回答者はそれぞれ61%と53%)。世帯収入はより優れたアクセシビリティ機能を持つ競合他社に乗り換えるかどうかにはほとんど関係がないようで、3つの所得階層すべてで回答者の60%以上が競合他社に乗り換えると答えています。

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進歩しているか

過去1年間で、デジタル体験のアクセシビリティを向上させるために企業が取った行動を、大まかにどのように分類しますか? 

調査参加者の体験や認識は、明らかにデジタルアクセシビリティ向上のためのさらなる取り組みが必要であることを示しており、決断力のある対策を講じるブランドは高く評価されるでしょう。しかし、消費者が求めているのは形式的なことではなく進歩であり、多くの回答者が企業の真意について懐疑的であると回答しています。過去1年を見ると、企業がアクセシビリティに真剣に取り組み、意味のある改善を行っていると信じる人は27%に過ぎません。33%は、企業は規制遵守のボックスをチェックするために基本的なことを行っていると考えており、28%は、企業はアクセシビリティについてマーケティング戦術として語り、ほとんど行動を起こしていないと考えています。一方、12%は企業はデジタル・アクセシビリティの改善について何も考えておらず、何も行っていないと考えています。

まとめとポイント

データから明らかなように、デジタルアクセシビリティの課題は広く存在し、その結果、多くの組織が提供するデジタル体験は、すべての顧客の期待に応えられていないことが多いのです。デジタルアクセシビリティを優先しなかったことによる見えざるコストは、マーケットリーチの減少、ロイヤリティの低下、ブランド評価の低下として現れるでしょう。 

アクイアでは、デジタルアクセシビリティは、デジタル体験の設計と管理にとって不可欠な柱であり、見過ごしたり、手薄にしたりしてはならないと考えています。すべての人に平等でアクセシブルな機会を提供することは、すべてのマーケターや組織が目指すべき価値です。だからこそ、Monsido プラットフォームなどのソリューションを含む Acquia DXP は、包括性を優先し、ウェブ、デジタル、マーケティングチームが最適化されたコンプライアンスに準拠したデジタル体験を提供できるように構築されているのです。

 

ウェブアクセシビリティ・ハンドブック

デジタルアクセシビリティに関するプログラムの開始や強化の方法については、ウェブアクセシビリティハンドブックをダウンロードしてご覧ください。

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