Drupalウェブサイトをどこでどのようにホストするか

Drupalは、強力で柔軟性に優れたオープンソースのコンテンツ管理システム（CMS）であり、複数のウェブサイト（数千サイト）を作成・管理し、ヘッドレス、ハイブリッド、または従来のアーキテクチャを使用することが可能です。Drupalの可能性は無限大ですが、企業は顧客が期待するインフラ、セキュリティ、メンテナンスでアプリケーションをサポートする必要があります。他のCMSと同様、この作業は往々にして時間とコストがかかり、企業はイノベーションのための時間と資金を失うことになってしまいます。

そのため、サービスとして提供されるDrupalホスティングプラットフォームをぜひ一度ご検討ください。企業が必要とするスケーラビリティ、セキュリティ、サポートを提供するため、顧客向けの新しいサービス開発に専念することができるでしょう。

オンプレミス、IaaS、PaaSホスティング： あなたに最適なのはどれ？

Drupalのホスティングにはかなり多くのオプションがあります。ここでは最も一般的なものを見てみましょう。

オンプレミスDrupalホスティング

Drupalサイトはオンプレミスのデータセンターやプライベートクラウドでホストすることが可能です。このアプローチでは、サーバー、ストレージ、ネットワーク、バーチャル化テクノロジー、設定と管理、モニタリング、サポートなど、すべてを自社で所有することになります。つまり膨大な量になるということです。必要なハードウェアの購入や継続的なメンテナンスが発生するため、コストは設備投資と運用の両方が必要になります。2000年代初頭はオンプレミス・ホスティングが人気のオプションでしたが、現在ではほとんどの企業がクラウドに移行しています。

IaaSプロバイダー

次の選択肢は、IaaS（Infrastructure-as-a-Service）プロバイダーです。DIYホスティングとして知られることもあるIaaSプロバイダーの代表例は、AWS（Amazon Web Services）、Microsoft Azure、GCP（Google Cloud Platform）といった典型的なパブリッククラウドで、他にもRackspaceやDigitalOceanなどがあります。

このアプローチでは、企業はインフラを一切所有しません。その代わり、必要に応じてインフラを購入し、ビジネスニーズに応じて年単位、月単位、週単位、場合によっては分単位で料金を支払い、インフラの保護、最適化、維持というような労働集約的で時間のかかる部分をアウトソースします。企業側は物理的なサーバー、データベース、ストレージ、ファイルシステムを自社で保守する必要はないものの、アプリケーションに適したものを選択し、トラフィックが急増した場合でも確実に拡張できる環境を確保する必要があり、クラウドのコストが膨らんで不要な請求が発生しないようにすることも必要になります。

PaaSプロバイダー

PaaSまたはサービスとしてのプラットフォームは、もう一つの選択肢です。このオプションでは、企業はアプリケーション（この場合はDrupal）とデータは所有しますが、インフラは一切所有しません。アプリケーションの拡張と実行に必要なテクノロジーは内蔵されており、完全に管理されています。PaaSは通常、サブスクリプション（年間、月間、その他）の一部として課金され、必要な分だけ支払う消費型です。時には、プラットフォームやアプリケーションのサポートが含まれることもあります。PaaSプロバイダーを利用すると、企業は多くの場合、アプリケーションの最適化だけでなく、プロジェクトに価値を提供する追加のツールや機能にもアクセスできるようになります。

SaaSプロバイダー

選択肢の最後を飾るのは、SaaS（Software as a Service）です。これは、クラウドを利用して、企業のアプリや関連ファイルをプロバイダーのサーバーに保存し、顧客がインターネットを通じて企業のソフトウェアにアクセスできるようにするホスティング方法です。企業は社内でソフトウェアをホスティングするために必要なインフラを管理する必要がなく、アップデートが必要な場合はクラウド環境でアップグレードを行うことができます。

上記の各モデルにはそれぞれ利点がありますが、DrupalホスティングのPaaSオプションは特に、メンテナンスの削減、コスト高騰の解消、新しいDrupalアプリケーションの市場投入までの時間短縮を望む企業にとって、間違いなく最もお得なオプションと言えるでしょう。

Drupalサイトのウェブホスティング要件

それでは、Drupalホスティングプロバイダを検討する際に考慮すべき主なポイントを見てみましょう。

Drupalの基本システム要件

これは必ず必要になります。Drupalのサイトやアプリケーションを運営しホスティングするためには、プロバイダはDrupal Associationがこちらで概説している基本要件を満たす必要があります。

スピードとパフォーマンス

先にも述べましたが、これはいくら強調しても足りません。サイトやアプリがユーザーの問い合わせに応答する速度は、重大な影響があります。レスポンスタイムが1秒遅れるだけで、コンバージョンは7％減少します。さらに、サイトのパフォーマンスに不満を持つ買い物客の約80％が、同じサイトから再度購入する可能性は低いと回答しています。Think with Googleによると、ページのロード時間が1秒から3秒になると、サイト訪問者が離脱する可能性は32%も上昇するそうです。

圧縮や最適化によってロード時間の遅さを相殺することはできるかもしれませんが、選択したプラットフォームがDrupalサイトのスピードを左右する可能性があるため、スピードに関しては、特定のコア要件を探す必要があります。

• パージ付きCDNサポート 
• Varnishキャッシュ
• Memcache

パフォーマンスのレポート機能があるプロバイダーはさらに良いでしょう。例えば、Acquia Cloud Platform のようなプロバイダに含まれるスタック・メトリクスや、 New Relic APM のようなツールは、開発者がインフラを監視し、ウェブサイトやアプリケーションを最適化することで、パフォーマンスを改善できることを可能にします。

アップタイムと可用性

スピードと同様、プロバイダーの信頼性も非常に重要です。あらゆる規模の企業にとって、サイトが1分ダウンするごとに平均4,500ドルの損失が発生すると言われています。大企業の場合、1分あたり11,600ドルにまで増加します。

ホスティング・プラットフォームは通常、自社のプラットフォームに対してサービス品質保証（SLA）を提供しており、プラットフォームが企業のアプリケーションをサポートすることを保障しています。業界標準は通常99.95%のアップタイムですが、中には99.99%のアップタイムを提供するプラットフォームも存在します。

また、自動バックアップとリカバリーを提供しているプロバイダーを探すことも大切です。万が一サイトに障害が発生した場合、データのバックアップと復旧がタイムリーに行われることを確認しておく必要があります。さらに、ペナルティが発生する前に、システムの復旧にプロバイダーがかけられる最大時間をSLAに盛り込む必要があるでしょう。

セキュリティ

ホスティングプロバイダーはどのようなセキュリティを提供していますか？信頼できるネットワークトラフィックのみを許可する多要素認証（MFA）や、レイヤー化されたファイアウォールなどがチェックポイントです。システムの完全性を監視するためにプロバイダがセキュリティイベントログを使用しているかどうか、デフォルトでファイル権限が制限されているかどうかも確認してください。アクセス権を制限することで、サイトコードへの不正な変更や悪意のあるファイルのアップロードができなくなります。また、障害復旧のための包括的なバックアップ・ソリューションを提供しているプロバイダーを探しましょう。

コンプライアンス

サイトに求められる規制基準は、企業の業態や顧客から収集するデータの種類によって異なります。PCI-DSS、HIPAA、FedRAMP、プライバシー・シールド、GDPR、SOC IおよびII、ISO 27001など、自社に関連する規制に準拠しているプロバイダーを見つけましょう。

開発者プラットフォームとワークフロー

ほとんどすべてのウェブサイトは動的であるため、企業はテストと開発のオプションを提供するプロバイダーを必要としています。本番システムとは別に、テスト環境と開発環境を少なくとも1つ用意し、改善や修正を行えるようにしておく必要があるでしょう。このような環境があれば、信頼性の高いコードをより簡単、安全、迅速に導入することができます。

また、開発チームがDrupalサイトを素早く構築しデプロイできるような、手軽に使える開発ツールも注目です。API、コマンドラインツール、インテグレーションなどは、開発のあらゆる段階でワークフローを合理化するのに一役買ってくれるでしょう。

カスタマーサポート

ホスティングプロバイダのカスタマーサポートは、注意深く見極める必要があります。ホスティングに問題がある場合、適切なテクニカルサポートに迅速にアクセスしなくてはなりません。社員が各地域に分散していたり、グローバルに事業展開している場合は、すべてのタイムゾーンと多言語でサポートを提供できるプロバイダーを探しましょう。

さらに、オープンなコミュニケーションとパートナーシップを重視するプロバイダーを選びましょう。テクノロジーの進歩が著しい昨今、優れたプロバイダーは企業のニーズに耳を傾け、サイトが最大限の効率で運営され、拡張性を確保できるようなプラン作りを支援してくれます。

評判

同業者のレビューは、現代において最も重視すべきものです。検討しているホスティングプロバイダーに関するカスタマーレビューやアナリストレポートを見つけるのは非常に簡単です。同じような職種の人や、同じような規模の会社に勤めている人のレビューを見てみましょう。

価格

サイトの運営にかかる費用は、スピードや信頼性など、前述の要因によってその収益性に関わります。もちろん、誰もが必要以上のお金を払いたくはありませんが、最も安価な選択肢を選ぶと結果的に高くつく可能性があります。というのも、オンプレミスやIaaSのようなオプションでは見積もり価格は安く見えるかもしれませんが、セキュリティやコンプライアンス要件、またそれに付随するすべての責任を負うのはホスティングプロバイダーではなく企業側になります。万が一何らかの形で要件が満たされなかった場合、情報漏えいが発生する可能性があるのです。

そのため、サイトが頻繁にダウンしたり、サポートが不安定だったり、データが失われたり（場合によっては永久に）、企業の評判が落ちたりすれば、せっかくの経費節減も水の泡となってしまいます。

今後の進め方について

ここに記載された注意事項を検討する際は、自社の優先順位をよく考えていただければと思います。テストシステムをホストできることよりも、パフォーマンスの高いサイトを重視する組織もあれば、コンプライアンスやネットワーク・セキュリティが優先される組織もあるでしょう。それぞれの企業によって異なります。

今回ご紹介したすべてとは言わないまでも、その多くの特性を備えたDrupalのマネージドクラウドホスティングプロバイダーについては、Acquia Cloud Platformのページをご覧ください。