【イベントレポート】Withコロナの重要課題 医療機器・製薬業界のDXを加速させた最新事例を紹介
アクイアジャパン合同会社は、商品情報管理(PIM)のリーディングカンパニーであるContentservと、アジャイル開発を得意とするCI&Tと共に、合同ウェビナー「Withコロナでデジタル化待ったなし、医療機器・製薬業界のDXを加速させた最新事例紹介セミナー」を開催いたしました。
医療機器・製薬業界におけるデジタルトランスフォーメーションが急速に進んでいます。そこで、デジタル収益を増やすためのWebマーケティングへの企業投資は増加傾向となっており、収益基盤としてのWebサイトの重要性はますます高まってきています。
本セミナーでは、3社それぞれのベストプラクティスを元に、スピーディーにDXを進めるためのデジタル基盤の構築と、アジャイル開発アプローチについて解説いたしました。
「デジタルマーケティングからデジタルセールスへ。クローズドループなコンテンツ管理」 (SPEAKER:株式会社Contentserv 代表取締役 渡辺信明) |
ーデジタルマーケティングで消費者と企業の抱える課題
2019年に実施された調査で「最初に商品を買うときと2回目以降に買うときにチャネルを使い分けるか」という質問について、7割の顧客が最初の購入は実店舗であると回答しました。
この結果を元に、消費者と企業のそれぞれの立場が抱える悩みや課題が浮かび上がりました。
まず、消費者の多くは、「実店舗に直接赴くことなく商品を買いたいが、ウェブ上の情報だけで購買を判断するのは不安」という悩みを持っていること。つまり、企業側は消費者個々人の興味・関心に沿った情報をウェブ上で提供できていないということです。
また、企業は、市場規模の拡大するEコマースに対応するために、デジタル設計に投資をしているのにも関わらず、顧客を獲得しきれていないことが判明しました。つまり、ECサイトを構築してやみくもに情報量を増やすだけでは、購買の意思決定に至りにくいことがはっきりと見えるようになってきました。
この問題は、BtoBの取引でも同様に起きています。
ー営業DXを成功に導くコンテンツ管理とは?
BtoB取引では、「営業が直接顧客に会え“ない”」「顧客が望む情報 (コンテンツ)を提供でき“ない”」「マーケティングとセールスが連携してい“ない”」という3つの”ない”が発生しています。例えば、在宅勤務によって「顧客が望む情報が会社のどこにあるのか分からずに提供できなかったり、オンライン商談ツールの期待した効果が出せていない」という事例が発生しています。
ファイルサーバー、Excel、頭の中などに情報が散らばっている状況では、効率的な営業ができません。こうして、商談結果やコンバージョンに明らかな影響が現れています。
こうした問題は、デジタルマーケティング・セールスで使われるツールをより連携することで解決できるのですが、ツールの連携が中々進まないことの問題として、「コンテンツを管理する基盤がないから、連携する術がない」ことが挙げられます。
ーデジタルセールスを成功に導くには
Contentservは、商品開発やセールス、マーケティングなどの部門で、商品情報や販促資材、キュレーションコンテンツといった自社のコンテンツに関係するものを360度可視化できる仕組みを提供しています。つまり、今まで縦割りでバラバラに管理されていたコンテンツは、このツールによって必要な部署が必要な時に使えるように変わり、公開のリードタイムを短縮することで、デジタルを通じた顧客体験は格段と上がります。
また、コンテンツを管理することはデジタルマーケティング・セールスで使われるツールを使用するに前に取り組まなければならないことであり、この行為が全てのDXに関する取り組みの礎になります。コンテンツ管理の最適化は、デジタル接点を通じた優れた顧客体験を実現します。
「医療・製薬業界の現場で進むDXプロジェクトとオープンDXP」 (SPEAKER:アクイアジャパン合同会社 カントリーマネージャー 小坂慎吾) |
ーコロナ禍が明らかにしたDXプロジェクトの課題
医療・製薬業界における営業活動は、対面での商談や展示会などオフラインが主軸となっていました。コロナ禍によって営業方法が対面からオンラインへ移行したことで、医療従事者の方への対面での情報提供や展示会のブースでの接客ができなくなってしまったことから、デジタルマーケティングを強化する動きが出てきています。
従来、展示会で自社ブースに訪れた医療従事者の方への接客方法は事前に深く検討されたシナリオによって、解説する担当者や配布するカタログを巧みに組み替え、興味関心をより深めてもらえるように設計されたものでした。この、オフラインでのカスタマージャーニーをオンラインでどう再現するか、どうやってフォローアップをしていくかが課題となっています。
また、医療・製薬業界に限らず、企業では部門ごとに現場で運用しやすいマーケティングツールをそれぞれ採用しているケースがほとんどです。業務プロセスが完全に縦割りで進行していることが原因で、データのサイロ(分断)が発生し、他部署との情報共有や連携が不十分となっていることも課題の一つと言えますが、お客様の体験も統一されず、バラバラとした印象になってしまうことも課題となっています。
ウェブサイト、チャットボット、スマートフォン、音声認識サービスなど、デジタルチャネルの多様化によりお客様が商品に接触するタッチポイントは増えています。しかし、各チャネルで一貫性のないコンテンツを提供してしまい、購買への繋がりを断絶してしまっている傾向があります。
これらの課題を解決するには、散在する様々なシステムからのコンテンツの一元化とデータの一元化が解決の糸口となります。
ーコンテンツの一元化で、世界中にコンテンツを届ける
アクイアは、組織やツールごとに分断されたコンテンツとデータを、一元管理することを可能にします。それにより、顧客体験の一元化を実現します。
また、ウェブサイトをグローバルで展開する企業の場合、世界各国のインフラを24時間365日監視する必要があります。しかし、各地域の拠点でウェブサイトを運営する際に、そのコンテンツについては統一して管理されていない企業が多いのが現状です。
また、商品情報に関しては本社のWebサイト上には豊富なコンテンツが用意されていたとしていても、例えば遠く離れた地域の支社には全商品情報の50〜70%程度しかコンテンツの用意がないケースもあり、言語が異なっていたり、異なるプラットフォームで地域ごとのWebサイトを運用したりしていると、情報提供の機会損失が発生している傾向がみられます。
しかし、アクイアのCMS「Drupal Cloud」と、Contentservの提供するPIM(商品情報管理システム)を活用することで、グローバルWebサイトをよりスピーディーかつセキュアに管理することができます。
アクイアはコンテンツを一元化し、あらゆるチャネルでの顧客体験をスピーディに提供いたします。
「デジタル基盤を素早く構築!DXを支援するアジャイル開発とDevOps」 (SPEAKER:CI&T株式会社 シニアブリッジエンジニア 藤田ウーゴ) |
DXとはテクノロジーを通してトランスフォーメーション(変革)を起こすことです。CI&Iが提供するDXツールであるアジャイル開発とDevOpsについて、3つの事例と共に説明いたします。
ーアジャイル開発のもたらす可能性
1)チームをまたいでも、ワンプラットフォームで開発
まずは、データ処理ツールを媒体として顧客へ配るビジネスモデルを、Webサービスに移行した事例です。このとき、既に顧客企業のシステムにはデータ基盤が存在していたため、マイクロサービスアーキテクチャー(ソフトウェア開発技法の一つ)でデータの拡張性を高めて、既存のコンテンツに加えました。
この際、データを処理するソースコードを変更する必要が無かったため、与えられた期間でより良いものを提供する方法を考えながら作ることができました。加えて、顧客の開発チームへ指導を実施し、顧客側でサービスを開発できるようになりました。つまり、このプロジェクトでは、一つのサービスを提供するだけではなく、いくつかのプロジェクトの開発を行い、顧客側でも開発できる体制作りを実現しました。
まずは、サービスのビジネスモデルを媒体販売からWEBサービスに変えたいという要望から生じたDXの事例です。
媒体で販売していたソフトウェアをウェブサイトに展開して顧客に提供をすることにより売上げを上げるという目標がありましたが、既存のサイトに新しいサービスを追加することが困難でした。
基盤を変える必要がありましたが、モノリシックアーキテクチャーからマイクロサービスアーキテクチャーに変える事により、基盤の拡張性を高め、媒体で販売していたソフトウェアを1つのサービスとしてコンテナにまとめることが出来ました。この時、ソフトウェアのソースコードを変更する必要がなかった為、与えられた期間でより良いものを提供する方法を考えながら作ることができました。加えて、顧客の開発チームに向けてトレーニングを実施し、顧客側で開発予定がなかったサービスまで開発できるようになりました。つまり、このプロジェクトでは、一つのサービスを提供するだけではなく、いくつかのプロジェクト開発を行い、顧客側でも開発できる体制作りを実現しました。
2)早く作る
次に、6,000ページものバックエンドのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)をDrupalに移行するケースがありました。このとき、大量のページレイアウトの変化・チェックを目視で比較する必要がありました。この作業は多くの時間を必要とし、いかに早く正確に遂行させるかが鍵となっていました。
そこで、6,000ページを5分でbeforeとAfterで確認できるツールを作成し、その差分を分かるようにしました。
このケースでは、手作業で行う工程を完全に自動化することで、同じ期間中でも効率を重視し、デジタル化をうまく使って「早く作る」ことを体現しました。
最後に、既にグローバルに展開されているwebサイトが正しく動いているか監視する事例をご紹介します。このときは、監視用のダッシュボードを作成してソースコードの品質をチェックする仕組みを作成しました。また、新しいものを作って世の中に展開する中で、常に脆弱性がないことを診断する定期的な脆弱性診断を実施しています。そして、サイトのパフォーマンスを読み取るために、どれだけのレスポンスであるのかを確認できる仕組みを構築しました。
しかし、監視中に人的なミスが発生する可能性があります。そこでDrupalは、ページの内容をモニタリングして、少しでも変更されたら担当者に電話が来る仕組みもつくりあげました。
DXは「誰に?、何を?、どうやって?」提供すればいいのか考えることによって、理解することができます。
コロナ禍でタイトなタイムラインでの開発が求められる中、コンテントサーブ、CI&T、アクイアのソリューションは、企業のスピーディーなDXの実現をサポートいたします。
開催概要
◆開催日時
2021年2月12日(金)15:00-16:30
◆配信形式
オンライン動画配信(Zoom)
◆登壇者
- 株式会社Contentserv 代表取締役 渡辺信明
- アクイアジャパン合同会社 カントリーマネージャー 小坂慎吾
- CI&T株式会社 シニアブリッジエンジニア 藤田ウーゴ