技術書典10でDrupalの薄い本を発行しました
12月26日 - 1月6日の間で開催される技術書典10にDrupalコミュニティの界隈の人たちでサークル出展して本を執筆しました。
執筆した本
「Drupal 9 Web開発をはじめるための薄い本」
サークル名:Drupal Meetup 豊田支部
頒布価格:800円(税込)
執筆者:8名
ページ数:189ページ
購入:Amazon Kindleストア、技術書典オンラインマーケット、BOOTH
※技術書典オンラインマーケットのみ12/26〜購入可能になります。
※この書籍は物理本の販売はございません。電子書籍のみです。
オープンソースのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)Drupal(ドゥルーパル)に関する、初心者向けDrupal 9解説本です。第1部ではDrupalとは何か、どんな機能があるのか、WordPressとどう違うのかなど概要をご紹介します。第2部ではDockerを用いたローカル開発環境の構築、AWSやさくらのVPSにDrupalのインストールする方法をご紹介します。第3部では、Drupal認定試験の合格体験記や他CMSからの移行方法など、もう少し機能やユースケースに絞ったDrupalの小話をオムニバス形式でご紹介します。
第1部 Drupalの基本知識
1章 Drupalとは何か?
第2部 DrupalでWebサイトを作ってみよう
2章 Drupalのサイトを構築してみる
3章 CentOS 8を使ったDrupal 9サイト環境構築
4章 Drupalをコマンドラインで操作する
5章 サイト構成を管理する
第3部 Drupalの小話、Tips
6章 サイトビルダー夫婦合格体験記
7章 Googleログインを実現する
8章 管理画面をもっと便利に!モジュール3選
9章 Migrate入門
10章 Drupal.orgの歩き方
ご興味ある方、ご購入いただけると大変嬉しいです!
購入はこちらから:Amazon Kindleストア、技術書典オンラインマーケット、BOOTH
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ここから以降は今回の書籍発行までの備忘録です。
参加したきっかけ
月イチで開催しているDrupal Meetup 豊田のオンライン勉強会(ほぼ雑談会)で11月あたりに技術書典の話で盛り上がり、みんなで本出したいねと言っていたのが事の始まりでした。
そのタイミングでちょうど12月の技術書典10のお知らせが舞い込んできたのは良いものの、サークル参加の申込み締め切りは11月30日までで、12月26日までに本をちゃんと出せるのか危惧してなかなか申し込めずにいて最終日まで悩んでいました。最終日まで悩んだ結果、出したい気持ちが勝ち、ギリギリ出展申込みに滑り込みました。
どんな本を書いたか
Drupalは日本語の情報が本当に少なく、AmazonではANNAIさんの本があるだけ(他はDrupal 7時代の本)、技術書典オンラインマーケットやBOOTHは0冊という状況です。そんな状況ですので、まずDrupalを気軽に触ってもらう必要があると感じました。かつ出展するイベントは「技術書典」という事で、開発者向けのDrupal解説本を書くことに決まりました。
スケジュール
サークル申し込みをしたのが11月30日だったので、そこから12月26日に技術書典10のオンラインマーケットに書籍が掲載されることを目標に、逆算して計画を立てます。逆算して、物理本は諦めざるをえませんでした(笑)。という事で今回は電子書籍のみです。
イベント開始日ギリギリまで執筆できるのかと思いきや、26日にマーケットに掲載されるためには2日前の24日までにプラットフォーム上でPDFを提出する必要があります(公開過程に審査が含まれるためです)。こういった制約を把握するため、事前に公式サイトのサークル参加要項は隅々までチェックしておく必要があります。
一番最初に取り掛かったのは、書籍の内容を決めることでした。12月1日に開催されたDrupal Meetup Toyotaの時間を少しいただいて、誰向けの書籍にするかや、アジェンダなど、大雑把に決定して以下のスケジュールを引きました。
- 〜3日までにアジェンダから誰がどの章を担当するか決める
- 〜20日まで 各自原稿を書き上げる
- 〜22日まで 各自Githubに原稿をアップし、レビューまで完了させる
- 〜24日まで 最後まで微調整を行う
執筆仲間集めも迅速に行わなくてはいけません。ちょうど12月1日、12月3日と別々のDrupal Meetupがあったので、そこで告知をして興味がある人をHiringして行きました。大変ありがたいことに12月7日までに豪華なメンバーが合計8名集まり、初動は爆速でした。
一番避けたいのは新刊を落とすことなので、それだけは避けるべく、毎週水曜日にZoomミーティングをセットして「進捗どうですか」を確認して行きました。
Re:VIEWを使って原稿執筆
過去にGitbookというOSSを使って本を作成したことがあります。MarkdownフォーマットからPDF、EPUB、HTMLなど生成できる便利ツールです。今回色々調べていて、技術書典ではRe:VIEWというツールがよく使われていることが分かりました。Gitbookと同じくコマンド一発でPDFやEPUBなどを生成できます。書き方はMarkdownではなく、独自のフォーマットです。多少学習コストはかかりますがその分自由度が高くいろんな記法ができることに感動し、今回はこのRe:VIEWを使ってみることにしました。
Re:VIEW Starterを使ってベースとなるコードベースを生成し、Githubのプライベートリポジトリに執筆者アカウントを招待、CIツールの設定も行い足回りを整えました。
189ページの「薄い本」
当初は、1万字を目標に5人集まれば一人あたり2千文字・・という想定をしていたのですが、この神メンバーの執筆量が凄まじく、執筆期間が20日間未満にも関わらず、PDFで189ページになる超大作が出来上がりました(笑)。
日本語では、記念すべき初のDrupal 9本になります。同人誌、かつ電子書籍だとこうも気軽に出品できるのは本当に素晴らしい事だと思いました。
そして今回の書籍の発行に寄せて、Drupal創始者のDries Buytaert(ドリス・バイタルト)氏からコメントをいただき、書籍に掲載することができました。薄い本にドリスのコメントが載るなんて、これはもう奇跡としか言いようがありません。交渉はアクイアのマーケティング担当、由梨さんに助けていただきました。本当にありがとうございます!
電子書籍の登録
オンスケジュールでなんとか24日までにPDFが仕上がりました!
技術書典10に向けた取り組みですが、どうせなら複数の書籍プラットフォームの上に置いて、より多くの人に見て欲しいところです。そこで今回は以下のプラットフォームに書籍を出品しました。
- 技術書典オンラインマーケット
- BOOTH
- Kindleストア
技術書典オンラインマーケットは本を出品するのに審査が必要です。26日公開するには2日前の24日までにPDFをアップロードします。
kindleも同様に審査が入ります。72時間は見ておいた方が良いので、26日までに公開できるように、こちらも24日にPDFをアップしました。そしたら予想外にも4時間ほどで公開されていました(笑)。早すぎて技術書典10の開始までにフライングしてしまいました。予約注文が指定できたらよかったのですが、こちらはPDFをアップするタイミングから4日後以降の日付しか指定できなかったので断念しました。
BOOTHは審査無しに公開できるので自分の好きなタイミングでアップして公開することができます。公開/非公開のフラグも用意されているので、こちらは事前にPDFをアップして公開できる準備をしておいて、26日になったら公開フラグに切り替えるということが可能です。
次回に向けて
今回の技術書典10、なんとか出品までこぎつけられました。出展から書籍出品まで一連の作業を通して、様々な学びがあったので次回はそれを活かしつつ、引き続きDrupal本を生み出したいと思います。
また、次回はぜひ物理本に挑戦したいと思います。今回は電子版だけだったので画像はカラーが基本でしたが、紙版は白黒という選択肢があります。白黒印刷でもきちんと画像が見えるように考慮する必要が出てきますし、PDFでは簡単にできる拡大/縮小もできないので、特にスクリーンショット画像をとるときには留意する必要があります。きっとまた新たな発見がたくさんあることを想像しますが、それもまた楽しみです。
という事で、執筆メンバーのDrupal愛の詰まった薄い本をどうぞよろしくお願いします!