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デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム(DXP)とは?
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最近の消費者は、関連性が高く、有意義で一貫性のある体験を求めており、それは企業と接するすべてのシーンにおいてもあてはまります。 例えば、インスタグラムの広告で商品を購入した人が、数日後に同じ商品を紹介するメールは受け取りたくないでしょう。 彼らが求めているのは、スマートなコミュニケーション、パーソナライズされたコンテンツ、スピード感、そして信頼できる首尾一貫したブランドエクスペリエンスなのです。
問題は、このレベルの体験を提供することは容易ではないことです。 マーケティングテクノロジーは、あらゆる種類のオムニチャネルに対応していますが、これらのソリューションを組み合わせ、データを活用したマーケティングテクノロジー(マーテック)として機能させることは、往々にして大きな課題となっています。 だからこそ、あらゆる業界が次世代のマーケティングテクノロジーであるデジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム(DXP)に注目し始めているのです。
DXPとは?
「デジタル・エクスペリエンス・プラットフォームとは何でしょうか」と100人に尋ねれば、100通りの答えが返ってくるでしょう。 フォレスターやガートナーなどの業界アナリストでさえ、若干異なるDXPの定義をしています。
アクイアでは、DXPを以下のように定義しています。
デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム(DXP)とは、企業が顧客に優れたデジタルエクスペリエンスを提供するための製品の集合体です。 DXPはテクノロジーの隔たりをなくすことで、この連携を実現します。 また、コンテンツ重視のコミュニケーションをあらゆるデジタルチャネルで構築、管理、配信、最適化するための一元的なハブを提供することが可能です。
包括的なデータを集めることで顧客理解を深め、その知見をコンテンツの作成、管理、配信に反映させます。それを可能にするツールがDXPなのです。 Webサイト、アプリ、チャットボット、SNS、ポータルサイト、店頭キオスク、デジタル掲示板、ウェアラブル端末など、顧客と企業のあらゆる接点をDXPで結びつけ、マーケターが管理する小さなエコシステムにまとめます。
このため、DXPは多くの機能を一つのシステムに詰め込んでいます。 Eコマース、キャンペーン管理、デジタル資産管理(DAM)、顧客関係管理(CRM)、顧客データプラットフォーム(CDP)、パーソナライゼーションツールなど、広く普及しているさまざまなテクノロジーを一つにまとめます。 ベンダーによっては、より多くの機能を提供しているところもありますが(また、紹介した製品のすべてが常に含まれているわけでも、必要なわけでもありません)、基本的に、DXPに含まれるべきものは以下です。
- コンテンツ管理、メディアストレージ機能
- Webサイト、ポータルサイト、ランディングページ、アプリケーションの迅速な開発を実現
- APIを利用したタッチポイントとコンテンツを横断する顧客データの収集と連携
- データを活用し、顧客向けデジタルコンテンツのパーソナライズを促進
- 分析を通じて、コンテンツのパフォーマンスとユーザーエクスペリエンスを測定
DXPとCMSの違いとは?
DXPはコンテンツマネジメントシステム(CMS)の機能を提供することができますが、この二つのソリューションは全く別物です。 従来のCMSは、Webサイト(ブログ、Eコマースサイト、企業内イントラネット、ランディングページなど)のコンテンツ管理に特化したものでした。 しかしご存知のように、近年ではWebサイトだけでなく、さまざまなメディアを通じて企業は顧客とつながる必要があるのです。 DXPの扉を開けましょう。 DXPはCMSの機能をさらに進化させ、Webサイトだけでなく、あらゆるデジタルチャネルにおけるユーザー体験全体に対応するものです。 従来のCMSに代わるより優れたシステムとして、「CMSの次なる進化」とも呼ばれるDXPは、今急速に普及しつつあります。
DXPの種類
マーケティングで使われるプラットフォームは決して一種類ではなく、それはDXPも同様です。 DXPの品質や機能はベンダーによって異なるだけでなく、実はオープンとクローズの2種類が存在します。
オープンDXPとは、第三者のベンダーが提供する複数の製品をひとつに統合し、一元管理するソリューションのことです。 使い慣れたCRMやニーズに合った新システムなど、各社が選択した製品を柔軟に組み入れることが可能です。 さらに、多くは検証済みのサードパーティ製品との統合機能をあらかじめ提供しており、それらをユーザー自身が「オン」にして利用することも可能です。
対してクローズドDXPは、すべてのDXPコンポーネントや製品を内蔵した自己完結型のプラットフォームです。 そのため、既存のサードパーティツールを利用するのではなく、すべてのDXPコンポーネントはそのプロバイダーによって開発・保守されており、セットで販売されています。 しかし、クローズドDXPは外部製品と統合ができないわけではなく、あくまで自社製品のエコシステムの中で最適に動作するように設計されているということです。
オープンかクローズか、どちらのDXPを選ぶかは好みによります。 とはいえ、ほとんどのユーザーはオープンモデルを好みます。 クローズドDXPは、統合作業を進めるための人的リソースがない組織や、ひとつのベンダーのみを通して取引したい場合に適しているでしょう。 しかし、これには限界があります。 世の中には8,000を超えるマーケティングツールが存在し、実に優れた機能を持つものも少なくありません。 そのためオープンDXPは新たに設計し直すのではなく、最高の製品が一つのプラットフォームでスムーズに動作するよう、時間やリソースを注いでいるのです。
DXPとDAM
コンテンツは、あらゆるデジタルエクスペリエンスを支える基盤です。 しかし、そのコンテンツさまざまなデジタルチャネルを駆使して世に送り出し、発信することは大変なこと。 だからこそ、多くの企業がDXPの一環としてデジタルアセットマネジメント(DAM)ソリューション を活用しているのです。
DAMのコンポーネントがあれば、DXP内でコンテンツを検索し、アクセスすることができます。 これによってチーム全体がスピード感を持って行動できるようになり、承認を得ている最新のブランドアセットのみが、デジタルコンテンツとして提供されるようになります。 また、画像サイズ変更ツールを使ってDAMシステムから取り込んだ画像を調整したり、フォーマットをその場で変換したり、検索エンジン最適化(SEO)のためのメタデータを取り込むなど、さまざまな機能を利用することができます。 優れたデジタル体験は、その舞台裏で行われている膨大な作業に支えられています。DAMシステムは、確固とした将来を見据えたデジタルマーケティング戦略を設定するための第一歩となることが多いのです。
DXPを利用するタイミング
非常に多くのベンダーが自社のソリューションをアピールしているため、本当にDXPが必要なタイミングを見極めるのが困難なのが現状です。 このタイミングは組織によって異なりますが(もちろんリソースの有無も)、多くの場合、次のような目的を達成するためにDXPに投資しています。
総合的な戦略の策定
すべてのデジタル戦略にDXPが必要なわけではありません。 しかし、長期的にオムニチャネル・マーケティングを考えている組織は、早急に検討すべきでしょう。 戦略が大胆になればなるほど、何が効果的で、何が効果的でないかを理解するのは難しくなります。 DXPはあらゆるタッチポイントやコンテンツにまたがる顧客データを結びつけることで、従来のデータサイロを排除し、マーケターがよりスピーディに、そして自信を持って戦略を実行できるようサポートするものです。
パーソナライズされたユーザー体験の構築
大規模なパーソナライゼーションは、テクノロジーの力を借りなければ実現は難しいでしょう。 しかし多くの場合、テクノロジーは顧客体験の一部にしか対応しておらず、顧客に関するインサイトを全体のブランド体験に反映させることはほとんどありません。 DXPは、すべてのデータとデジタルエクスペリエンスツールを単一のプラットフォーム上に集約し、一元管理することでこれを解決します。 その結果、企業はより深い顧客理解を得ることができ、よりスマートで効果的なパーソナライゼーション戦略を展開できるようになるのです。
効果的なキャンペーン運営
インサイトを把握し、さらに迅速なアクションを起こすことが求められることから、キャンペーン管理は容易ではありません。 しかし、複数のソースからのデータを統合し、スピーディーな分析を可能にしてくれるのがDXPなのです。 しかし、それはあくまでも一部です。 キャンペーンでは継続的な最適化とA/Bテストが必要になりますが、開発者のランディングページ作成または更新を待たなければならないため、マーケターはその間身動きが取れなくなってしまうのです。 マーケターはDXPを利用することで、これらの更新や変更のプッシュを自分たちで行えるようになります。
DXPのメリット
オムニチャネルを成功に導くためのマーケティングとカスタマー・エクスペリエンス(CX)の関係について、北米、英国、西ヨーロッパのマーケティングおよびCXの専門家205名を対象に調査が実施されました。 ある調査の質問では、「複数のタッチポイントで一貫したカスタマージャーニーを実現する上で、最大の障害は何ですか」という問いに対して、「テクノロジーの壁」という回答が最も上位にランクインしました。
そのとおりなのです。 企業がますます多くのテクノロジーを採用するようになるにつれ、多岐にわたるチャネルで一貫したブランド体験を生み出すことは、必然的に困難となっているのです。 DXPとは、デジタル体験とそのサポートのために必要な特定の(かつ広範な)製品提供に焦点を当て、この問題を解決するために特別に設計されたものです。 適切なDXPを導入することで、以下のようなメリットを得られるでしょう。
- データとコンテンツの連動により、さらにスマートな予算配分や、情報に基づくキャンペーンの最適化、迅速な意思決定が可能になる
- より高度なパーソナライゼーションが、機械学習と顧客の特性、好み、コンテンツ消費に関するクロスチャネルインサイトによって可能になる
- オープンアーキテクチャーのソリューションで、既存・新規問わず最先端のマーケティングツールをカスタマイズし、容易に統合できる
- すぐにコンテンツ作成が開始できるので、Web開発者への依存を減らし、より俊敏なデジタルマーケティングを実現できる
- 360°の顧客ビューにより、オンラインとオフラインのデータを効果的にクレンジング、管理、運用することが可能
- ガバナンスによるコンテンツのブランド維持、顧客プライバシーの保護、リスクの軽減
未来を創造するDXP
どんな形であれ良質なデジタル体験を受けることは、世界中の顧客にとって重要なことであり、今後もそうであり続けるでしょう。 企業によっては、既存のマーケティング・テクノロジーを活用することで、この期待に応えられるケースもあります。 しかし、デジタル戦略が進化し続け、さらに新たなデジタルチャネルが主流になると、DXPのパワーを活かした企業が優位になっていくのは目に見えているのではないでしょうか。
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