2015年以降にAcquia Cloudで立ち上げたDrupalサイトの数
クライアント
約400万人の人口を抱えるロサンゼルス市は、カリフォルニア州最大の都市であり、アメリカ国内では第2位の規模を誇ります。 市の公式ウェブサイトであるlacity.orgを通じて、住民、訪問者、企業に情報やサービスを提供しています。
LA市の情報技術局(ITA)は、情報技術者465名を19の部門に分けて雇用しており、年間の運営予算は1億2500万ドルです。 ITAのスタッフは、コンピュータサポートやデータネットワーキングなどの基本的なITサービスや、3-1-1コールセンター、エンタープライズソーシャルメディアなどの先進的なデジタルサービスを提供する役割を担っています。
背景
LA市のITAにおけるミッションは、自治体全体で「迅速な対応、責任感、優れた技術」を提供することです。しかしながら、慎重に分析した結果、ITAはWebサイトのプラットフォームがこの目標達成を妨げていると判断しました。 市のHTMLウェブサイトとコンテンツ管理システム(CMS)の維持管理は、ITスタッフにもエンドユーザーにも難しく時間のかかるものでした。
2020年5月、ITAはAcquia Site Factoryでホストされていた35のDrupal 7ウェブサイトをDrupal 8にアップグレードする作業を開始する必要がありました。 彼らは2021年5月までにこれを完成させる必要があり、同時に年間を通して発生する新しいDrupal Webサイトのリクエストもこなす必要がありました。
課題
ITAのスタッフは、Webサイトの安定性や顧客満足度の向上など、ウェブサイトを維持する上で様々な課題に直面していました。 ローカルサーバーで運営されていた市のWebサイトは、アクセス数が多く負荷がかかるとクラッシュしやすく、バックアップの維持にも費用がかかりました。 また開発者は、機能アップデートやセキュリティアップデートと、Webサイトのコンテンツアップデートの両立手を焼いており、ユーザーは不満を募らせていました。 開発者は保守作業に追われ、デザインに時間を割くことができず、デザイン基準の変化にWebサイトを対応させることが難しい状況でした。さらに、Drupal 7で作られた35のWebサイトをDrupal 8にアップグレードすることは、各サイトを一から作り直す大変な作業でした。
ソリューション
2015年、ロサンゼルス市はAcquia社と協力して、3つのWebサイトをDrupalのコンテンツ管理システム(CMS)に移行し、Acquia Cloudでホストしました。
それ以来、少数のサイトでDrupalを使用してきたLA市は、Acquia Site Factoryを使用してデジタル変革を続けました。 Acquia Site Factoryにより、ITAチームは数分でWebサイトを展開できるようになりました。Drupalの使いやすいCMSとITAの柔軟なテンプレートのおかげで、技術者ではない部署のスタッフでもWebサイトの更新ができるようになり、ITスタッフは安定性の問題を心配する必要がなくなりました。そしてAcquiaのプラットフォームは、地震や火災、パンデミックなどの災害時にも市のWebサイトを支えてきました。
これにより、ITAの開発者はWebサイトの新機能構築など、より価値のある作業に集中できるようになりました。 Drupalで独自のカスタムコードを構築したり、Drupalコミュニティが提供する膨大なオープンソースコードを活用することで、ITAはWebサイトの新機能をこれまで以上に迅速に展開できるようになりました。 例えば、DrupalのAPIエンジンとAPIを活用すれば、3-1-1コールセンターのデータを使い、ウェブサイト上で行政サービスを要求している住民を表示することができます。さらに、その近所で何回支援が行われたかもわかります。 また独自のAPIを使えば、ニュースやカレンダーのイベントを他のウェブサイトに簡単にフィードすることができます。
また、ITAはWebサイトのパーソナライゼーションも強化しました。 例えば、サイト訪問者が住所を入力すると、議員の連絡先や地域の公園や娯楽施設のデータなど、地域に密着した情報が配信され、訪問者はさまざまなWebサイトから情報を集める必要がありません。
Drupalのプラットフォームを利用することで、ITAは分担しながらDrupal 8のアップグレードに取り組むことができました。 ITAのWebサービスチームがDrupal 8のテンプレートを開発した後は、開発者はAcquia Site Factoryを使いそのテンプレートでWebサイトを迅速かつ効率的に構築・展開することができました。 また、Drupal CMSは誰でもWebサイトのコンテンツ提供ができるようなインターフェースを提供しているので、技術者以外のユーザーも移行作業に貢献できました。これにより、開発者は機能構築に専念することができたのです。 開発者とWebサイトのコンテンツ担当者の役割を明確にすることで、プロセスが容易になりました。
成果
DrupalのCMSは、Webサイト更新のための人気ツールであることがエンドユーザーによって証明されており、Acquiaはそれらを展開するための強力で効率的な方法を提供しています。 LA市は2015年に3つのDrupalウェブサイトを立ち上げました。それが好評だったためその後68のDrupal Webサイトを立ち上げており、これらはすべてモバイル対応でADAにも準拠しています。 市のWebサイト全体でトラフィックとエンゲージメント時間が増加し、CIO MagazineやPublic Technology Instituteなど国内の賞を多数受賞しました。 またDrupalのAPIを使い、Webサイトのデータをチャットボットやスマートスピーカーアプリなど、他のチャネルに共有することができました。 また、スタッフの仕事に対する満足度も向上しました。
これらの成功を受けて、ITAは今後ユーザー体験向上へのさらなる投資を計画しています。その一つが、1つのプロファイルとログインで市が提供するWebサイトやアプリにアクセスできるようになる機能です。 繰り返しになりますが、Drupalはこのような統合の作業も簡単に行うことができます。
2021年5月までに、ITAは35個あったDrupal 7のWebサイト全てをDrupal 8に移行することに成功し、同時に10個の新しいWebサイトをDrupal 8で直接リリースすることができ、期限に間に合わせることができました。 バックエンドプラットフォームのアップグレードに加え、Drupal 8のプラットフォームで公開するWebサイトをよりモダンで機能的、かつ新鮮なものにするために、テンプレートにいくつかの新機能を追加しました。Drupalプラットフォームへの移行により、ITAのWebチームはエンドユーザーや関係者に、「迅速な対応、責任感、優れた技術の提供」というミッションをようやく達成することができました。