ブランドのアセット管理モデル
ブランドとは一体何でしょうか?私が愛用しているブランド、ニューバランスで説明しましょう。かつて私は、ニューバランスといえば真っ白で幅広の「お父さん」シューズメーカーだと思っていました。しかし今では、ニューバランスは、ジーンズやショートパンツに合う、流行の最先端を行くシューズだと考えています。ディナーにも、何キロ歩くときにも、どこにでも履いていけるんです。
ニューバランスは、私のお父さん的ライフスタイルにぴったりです。モバイルアプリをチェックしたり、メールを開いたり、インスタグラムでスポンサー投稿を見たり、ニューバランスの店舗に入って新しい靴を履いてみたりするときに、そのライフスタイルを感じますね。
ニューバランスは私のことをよく理解してくれています。必ずしも新しい靴を探しているわけではない時に必要とさえ思っていない靴を提案してくれても、それでも欲しいと思わせてしまうのです。
ニューバランスのクリエイティブとマーケティングチームは、私のオムニチャネル体験を実現するために、信じられないほどのテクノロジーとワークフローを駆使しています。彼らは、意図的で印象的な一連の瞬間を通して、私のニューバランスに対する印象を形成しました。簡単に言えば、ニューバランスはブランドアセットの管理をマスターしているのです。
あなたのブランドは一瞬一瞬の積み重ね
あなたのオーディエンスは、一つひとつの瞬間を覚えていなくても、それらの瞬間のすべてがどのように感じたかは覚えているはずです。彼らの認識をコントロールすることはできませんが、彼らにインスピレーションを与えることは可能なのです。そして、デジタル・アセット・マネジメント(DAM)ソフトウェアは、あなたのブランドのコンテンツの管理者として、その役割を担っているのです。コンテンツは一瞬一瞬を作り出し、その小さな一瞬がブランドを形作るのです。
適切なコンテンツを、適切な人たちと、適切なタイミングで結びつけることで、心に残る瞬間が生まれます。ブランド・アセット・マネジメントの真価が発揮されるのは、そこなのです。
ブランドアセットを管理する目的とは?
ブランドマネジメントの目的は、以下の通りです。
- 最も貴重なアセットを守ること
- 消費者の心の中にブランドを定義する瞬間と経験を形作ること
- これらの瞬間を形成するコンテンツについて熟考すること
以下は、ブランドアセット管理ソリューションの全体像です。
Acquia DAM(Widen)は、コンテンツの作成から配信、そしてその後の流れをサポートします。本記事では、この4つの柱をベースにしたブランドアセット管理のモデルを解説します。
- 仕組み:適切な仕組みにより、チームはより一貫したブランド体験を生み出すことができるようになる
- アクティベーション:コンテンツの活性化により、ユーザーはすべてのオーディエンスに対して一貫してブランドを表現することができる
- インテグレーション:テクノロジースタック全体のツールを統合することで、顧客と接するあらゆる場所でブランドの認知を形成することができる
- モニタリング:解析ツールを使い、戦略の調整や今後のコンテンツ作成・活性化の計画を立案するライフサイクルを完成させる
それでは、このモデルをより深く掘り下げてみましょう。
仕組み
ブランドマネジメントは、適切な顧客に適切なモーメントを提供する、適切な仕組みづくりから始まります。このような瞬間を一貫して維持するためにはまず、ブランドガイドラインを作成しましょう。
ブランドガイドラインを共有し、活用する方法はたくさんあります。DAMシステムのポータルは、ブランドガイドラインとコンテンツを集約して共有するための方法として登場しました。ブランドポータルは、ロゴ、カラー、フォント、グラフィック、テンプレート、一般的に使用されているアセットなど、最も重要なブランドアセットやエレメントをすべて整理して共有するシンプルな手段となっています。
自動化されたクリエイティブワークフローがその仕組みを支えています。その主な特徴は以下の通りです
- Adobe CCコネクタのような統合機能により、デザイナーが使用する主要なアプリケーションにアセットを取り込むことができる
- カスタムリクエストフォーム、テンプレート化されたワークフロー、高度な校正ツールを備えたワークフローなどの校正・承認ツールにより、クリエイティブのレビューと承認を合理化
- WorkfrontやAsanaなどの一般的なプロジェクト管理ツールとの統合により、アセットに関する唯一の情報源を構築できる
これらの機能により、クリエイターは創作活動に時間を割くことができ、煩わしい管理作業を軽減することができます。
仕組みに関する最後の重要な要素は、DAMの5つの基礎の1つであるコンテンツガバナンスとメタデータ、特に利用権と権利管理のためのものです。
メタデータとガバナンスによって、アップロードからダウンロードまでの効率が改善されます。デフォルトのメタデータとメタデータマッピングを組み込んだアップロードプロファイルは、アップロード時のデータ入力を自動化し、時間を大幅に節約して正確性を向上させることができます。ロールやアセットグループをベースにメタデータの種類をセグメント化することで、異なる目的で使用される各アセットセットの固有の特性を管理することができます。
権利管理は、ブランドアセットマネジメントにおいても非常に重要です。適切なアセットと適切なタイミングを組み合わせるだけではなく、法的なトラブルからアセットを保護することが必要です。ここでは、その助けとなる主な機能についてご紹介します。
アセットの閲覧時:
- 違法ダウンロードを避けるため、透かしの入ったプレビューを使用する
- メタデータフィールドを「許可された使用」のために指定する
- ユーザーに警告するために、アセットグループに「権利管理」(または類似のもの)のフラグを立てる
- アセット詳細に権利とリリースフォームを添付する
アセットのダウンロード時:
- ユーザーに選択肢の中から使用目的を選んでもらう
- エンドユーザー使用許諾契約書(EULA)を締結し、自らを保護する。
- 機密性の高いアセットであれば、アセットの承認が必要とする(アセットグループの設定として)
- 要求者がアセットをダウンロードする前に、使用目的が許可された用途と一致するかどうかを確認する
- XMPフィールドとして「許可された使用」をマッピングすることで、そのメタデータをファイルと共に保持することができる
これであなたが炎上することはないでしょう。正しい仕組みを作ることで、コンテンツをより活性化させ、つなげることができるのです。
それでは次のステップに行きましょう。
アクティベーション
コンテンツ配信は、様々なローンチキャンペーン、イベントやプログラムによって、特定のオーディエンスのニーズに合わせたコレクションのキュレーションやポータルの作成によって行うのがベストだと言えます。
優れたポータルサイトの例として、コペンハーゲンに本社を置く電気ケーブル製造のグローバルリーダーであるNKTが挙げられます。
NKTは公開されたブランドポータルを使って、ブランド化されたマイクロサイト経由でデジタルアセットを配布し、アセットのダウンロード、ビュー、シェアを追跡できるようにしています。
彼らはブランドポータルを使って、ロゴ、アイコン、色やタイポグラフィなどの基本的なブランド要素、再利用可能なテンプレート、イメージギャラリーを共有しています。
ポータルはNKTにとっても使用、更新が簡単にでき、世界に向けてブランドを一貫して発信する必要のあるステークホルダーと情報を共有することができます。
テンプレートは、ブランドを維持しながらコンテンツを活性化させる別の方法を提供します。このアプリケーションは、クリエイティブチームがブランドを完全にコントロールしながら、権限を持つユーザーから要求される多くのデザインニーズに対応することができます。
テンプレートは、クリエイターの創作意欲を削ぐような単純作業を自動化し、営業担当者や マーケターがそれぞれパーソナライズ、かつ地域ごとのコミュニケーションを作成できるようにします。広告、パンフレット、名刺、ダイレクトメール、ワンページ、ポスター、看板、Eメールバナー、SNS、提案書など、編集可能なフィールドを備え、権限を持つユーザーがそれぞれの地域のニーズに合わせて更新することができます。
インテグレーション
デジタルエクスペリエンス全体でコンテンツをつなげることで、没入感のある瞬間を演出します。DAMは、マーケターがあらゆるチャネルでブランドの魅力を最大限に発揮できるようサポートするツールなのです。
大きく分けると、2つの機能が挙げられます。
まず、共有リンクと埋め込みコードを使用することで、一つの情報源から自動的にアセットを更新することができます。また、設定可能な変換フォーマットやトリミングオプションにより、アセットリンクは自動的にそれぞれのチャネルの画像を最適化します。
ブルックスランニングは、埋め込みコードを使用して、地域を超えてブランドアセットの最新版のみがオンラインで公開されるようにしています。「北米だけでなく、ヨーロッパでも利用されるようなアセットがある場合、同じアセットで同じストーリーを伝えるようにしたいのです」と、ブルックスランニングのDAM管理者、Trey Bailey氏は話します。
アライアンス・ランドリー・システムズ社は、アセットの埋め込みコードを活用し、製品画像や資料のオンラインでの公開方法を効率化しています。アセットの新しいバージョンがDAMシステムにアップロードされると、ウェブ上に埋め込まれているすべての場所で自動的に更新されます。これは、COPE(一度作成すれば、どこでも公開できる)戦略を実践している素晴らしい例と言えるでしょう。
Hootsuiteは、ウェブサイト上のゲートコンテンツを提供するために埋め込みコードを利用しています。DAMシステムから埋め込みコードを使うことで、リソースとのやり取りを把握することができ、新しいバージョンが追加されるたびにアセットを最新に保つことができます。
埋め込みコードは、手動でコピーペーストしたり、APIを介してプログラム的に他のシステムに送ることが可能です。
次に、DAMシステムと一般的なマーケティングテクノロジー(マーテック)プラットフォームとの統合も、没入感のあるモーメント作りをサポートします。コンテンツ管理システム(CMS)、マーケティングオートメーション、ソーシャルメディア、顧客関係管理(CRM)ソリューション、デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム(DXP)などがこれにあたります。
DAMをマーテックスタックの中心に据えることで、すべてのシステムが同じ最新かつ承認済みのコンテンツを使用することができ、適切で調和のとれたデジタル体験を、迅速かつ効率的に構築することができるようになります。
モニタリング
ブランドモニタリングは、インスピレーションを得た瞬間を照らし出すものです。だからこそ、インサイトは貴重なブランドモニタリングツールとなり得るのです。コンテンツがどのように利用されているかを把握し、適切なコンテンツをさらに活性化し、より多くのオーディエンスとつながるために、分析ツールを利用しましょう。
例えば、下記のような疑問に対する答えが見つかるでしょう。
- どのように私たちのサイトを利用しているのだろうか?
- システムに何を取り込み、何を取り出しているのか?
- どのようなアセットが使用されているのか?
- どのように使われているのか?
- ユーザーはどのように検索しているのか?
- ユーザーはどのような検索キーワードを入力しているのか?
また、科学的な方法を分析に応用してみるのもよいでしょう。
ブランドでインサイトを利用する場合は、シンプルに、ブランドにとって最も重要なことに焦点を当てると、より意味のあるインサイトを定期的に引き出せるようになります。
まとめ
ブランドが進化するにつれて、あなたが作り出す瞬間もまた進化します。アクイアのブランドマネジメント・ソリューションで、あなたのストーリーを自在に演出しましょう。 ぜひこちらよりデモをリクエストして詳細をご確認ください。
注:この記事はWiden.comに掲載されたものです。