クライアント
人々の生活を改善し、より豊かなものにするために、ノバルティスは医療を革新しています。研究開発におけるテクノロジーリーダーシップと斬新な医薬品の入手方法を通じて、社会的な負担を軽減する価値の高い医薬品を提供しており、新薬の研究開発においては常に世界トップクラスの投資額を誇っています。140を超える国籍の約10万3,000人が協力し、ノバルティスの製品を世界中の約8億人の人々に届けています。
背景
ノバルティスは、魅力的なユーザー体験を効果的に提供できるエンタープライズ・テクノロジー・プラットフォームを必要としていました。彼らは、米国製薬製品のデジタル・エンゲージメント・プログラムをサポートする新しい戦略的なUSIM(米国の革新的な医薬品)ウェブプラットフォームの構築を模索していました。
課題
米国の製品サイトにおけるノバルティスの企業ウェブ環境は、複数のプラットフォームにまたがって断片化されており、取り組み方も能力も大きく異なり、技術的負債もさまざまなものがありました。このため、新しい製品にかかる労力や市場投入までの時間が不透明でした。
統一されたプラットフォームがなかったため、何百ものサイトにまたがるウェブサイトの更新に膨大なコストと時間がかかっていました。さらに、個々のウェブ実装は特定のブランドにローカライズされていたため、幅広いポートフォリオでは、サイトのアクセシビリティ、スピード、データセキュリティなどの最適な運用を保証するために必要なガバナンスと調整が不十分な状態。
加えて一元化されたデザインシステムがないため、サイト全体の統一感を保つことが大きな課題となっていました。単一のプラットフォームがないことで、サイトのポートフォリオ全体で次世代のウェブ機能の提供を実現するための柔軟性と、経済的な規模を活用する力も不足していたのです。
ノバルティスは、ユーザーエクスペリエンスとアプリケーションのパフォーマンスを向上させる新しい USIM プラットフォームを構築し、パーソナライゼーションやマーテクスタックの統合といった機能強化への道筋をつけることで、ユーザーエンゲージメントを根本的に改善する必要があると認識していました。
ソリューション
ノバルティスのオムニチャネル・ウェブは EPAM と提携し、新しい USIM ウェブ・プラットフォームを構築するという何年にもわたる取り組みに着手。新たな Drupal ベースのプラットフォームへの移行により、安全で安定した拡張性の高い CMS 基盤の上で、高品質のウェブサイトを効率的に開発することが可能になりました。
カスタムメイドの柔軟な React フロントエンドを採用し、Drupal 9 のレイアウトビルダーをベースとしたコンテンツ制作がバックエンドを支えるという、分離されたアーキテクチャのアプローチによって、一貫したデザインシステムとユーザーエクスペリエンスが実現。同時にチームはカスタム Drupal プラットフォームに組み込まれた共通の機能、統合パターン、API を活用することが可能になりました。
従来、ノバルティスの新しいアプリケーションや機能開発には初期段階のユーザーリサーチがほとんどなく、長期にわたるタイムラインと、必ずしも事業計画と結びついていない膨大な先行投資が必要になり、その機能は最小限の再利用にとどまるものでした。また、インパクトの測定も広く行われていなかったため、「大胆な」リリースの結果、ユーザーのエンゲージメントが低く、顧客へのインパクトが不明確(または未知数)なウェブ製品がしばしば生み出されていました。EPAM との協業により、ノバルティスはアジャイルプラクティスと段階的な製品開発の考え方を採用。同社は顧客の声とユーザーテストを取り入れ、ウェブ体験が顧客のニーズに合っているように努めました。
ビジネス部門とテクノロジー部門の垣根を越えてチームメンバーが協働することで、より革新的な思考、効果的なコラボレーション、持続可能なソリューションが生まれました。EPAM は、ノバルティスのチームのニーズと目標を完全に理解するために、綿密で迅速なディスカバリーセッションを開催。グループがどんな提案やソリューションにも耳を傾けることを意味する「グリーンフィールド」開発アプローチを採用しました。
MVP(Minimum Viable Product:実用最小限のプロダクト)のリリースと継続的な改善を通じてアイデアを実現することに集中することで、実際のユーザーエクスペリエンスから直接学び、関連する CX アプローチを迅速に調整し、ユーザーのニーズを満たせるようになりました。継続的な顧客とのコミュニケーションにより、患者や医療従事者がより利用しやすく、信頼できる、効果的なノバルティスのウェブソリューションの考案と導入につながりました。
結果
デザインシステムを Drupal とシームレスに統合し、分離されたフロントエンドを構築する方法として、ノバルティスの USIM プラットフォームは社内のロールモデルとなっています。このプラットフォームにより、広範なユーザーテストとリサーチに基づいて構築・標準化されたデザインフレームワークで、新規のウェブサイトを作成したり、既存のウェブサイトを移行したりすることが可能になりました。製品チームのアジャイル的な考え方を採用し奨励するようになってから、ノバルティスと EPAM の両チームは緊密に協力し、ビジネス目標のより深い共通理解を可能にし、顧客のニーズを見事に満たし、あるいはそれを上回るソリューションの開発につなげています。このような非常に協調的な取り組み方法により、フィードバックに費やす時間を最小限に抑え、開発サイクルを効率化。各スプリントでより多くの機能を提供することが可能になりました。
結果として、プラットフォーム対応のウェブサイトにおけるノバルティスのエンゲージメントが向上しました。つまり、ユーザーはノバルティス製品について学ぶためにサイト上でより多くの時間を費やすようになり、医療従事者とその患者はより簡単に重要な情報にアクセスできるようになったのです。
ノバルティスファーマの製品ウェブサイトは、さまざまな疾患の治療とケアに取り組む患者にとって貴重なリソースとなりました。ウェブサイトの価値を測定することで、患者がより質の高い生活を送るために必要な医薬品を見つけることができるようサポートしつつ、どのよう継続的にサポートするかを調整することができています。