クライアント
世界トップクラスの大学であるスタンフォード大学は、カリフォルニア州スタンフォードにある私立研究大学です。そのキャンパスは全米でも有数の規模を誇り、17,000人以上の学生が学んでいます。
背景
スタンフォード・ウェブ・サービス(SWS)が2011年にDrupal 7で立ち上げたのが「Stanford Sites」です。教職員や学生、スタッフが大学の業務で使うWebサイトを構築・管理するための無料のセルフサービス型CMSで、ピーク時には3,000以上のサイトをホストしていました。
課題
Drupal 7のEOL(サポート終了)の期限が迫っていることから、SWSはStanford Sitesのアップグレードが優先事項であると認識していました。彼らはホスティングにかかる二重コストを削減し、最新バージョンのDrupalのみをサポートすることで、自社のリソースをプラットフォームの改良に集中できるようにしたいと考えていました。しかし、大規模なアップグレード戦略を実施することは困難な課題でした。技術的なスキルや 予算が少ない中で、大規模なDrupal 7のプラットフォームをどのように置き換えるのか?デザイン、ユーザー、モジュール、構成が異なるウェブサイトを大規模に移動させるにはどうすればいいのか?
さらにSWSは、ウェブサイト訪問者にとってよりアクセスしやすく、編集者がより簡単にアクセスしコンテンツの確認やメンテナンスができるような新しいバージョンを作りたいと考えていました。プロジェクト全体では、デジタルコミュニケーションの優先順位をサポートするためにウェブサイト所有者が望むことと、Drupal 8とDrupal 9で人気のあるカスタム機能やテーマの再構築とのバランスを取る必要がありました。
ソリューション
SWSは、最も多くのウェブサイトを管理している大学の部門でアドバイザリーボードを結成しました。彼らは定期的にミーティングや ブレインストーミングを行い、優先順位の確認、ロードマップの策定、リリースされる機能のテストなどを行いました。このような徹底的な協力体制は、各部門のコミュニケーションニーズに合わせて設計され、非技術系の編集者にも簡単に使えるサービスであること、そしてアクセスしやすく、安全で、使い勝手が良く、美しいウェブサイトを確実に提供するために極めて大切です。
また、調査やインタビュー、製品機能のユーザーテストなど、ユーザーエクスペリエンス調査にも力を入れました。また、スタンフォード大学のブランディングチームや デジタル関連チームと密接に連携し、リリースごとに最終製品がデザインとアクセシビリティの基準に沿っていることを確認しました。
さらに、SWSは8~10週間ごとに新機能、バグフィックス、セキュリティパッチを新システムにリリース。Acquia Site Factoryの中央コード管理と複数のスタックにより、高いパフォーマンスと安定性を確保しながら、専用のインフラで二つのDrupalディストリビューションを維持することが可能になりました。
最後に、SWSは編集者向けトレーニング、総合的なユーザーガイド、充実したエンドユーザーサポート、そしてプロフェッショナルサービスを提供し、ウェブサイト所有者が期限内に移行を完了できるようにサポートしました。
結果
成長し続ける共有プラットフォームを管理する上で、Acquia Site Factoryは重要な役割を果たしました。大規模なウェブサイトのエコシステムを管理し、最初から最後までスムーズに移行する上で、アクイアのツールやDrupal自体の柔軟性が素晴らしい投資であることが証明されました。
昨年、SWSはプラットフォームの価値を高めるために複数の新機能を設計、構築、リリースしました。さらに、セキュリティアップデートとサポートを継続して受けるために、6月の期限までにウェブサイトの移転を計画し完了できるよう、積極的なコミュニケーションとユーザーサポートキャンペーンを開始し、ウェブサイトの所有者をサポートしました。この結果、2021年7月時点でStanford SitesがホストするDrupal 9のウェブサイトは654、Drupal 7は2, 600以上となりました。2022年7月には、Drupal 9のウェブサイトは1,381件となり、わずか114件となったDrupal 7のウェブサイトも年内にすべてなくなる予定です。
現在この新しいプラットフォームでは、新入学案内からCOVID関連の連絡、学部や研究所のサイト、研究室のサイト、個人のサイト、学生のサークルなど、さまざまな用途で活用されています。