1992年オーストラリア障がい者差別禁止法
1992年に制定されたオーストラリアの障がい者差別禁止法(DDA)は、ウェブアクセシビリティにどのような意味を持つのか、また、準拠するために何が必要なのかを解説します。
オーストラリア障がい者差別禁止法(DDA)とは?
1992年オーストラリア障がい者差別禁止法(DDA)は、雇用、教育、サービスの提供と利用、公共空間の利用、クラブや協会での活動、スポーツ、宿泊施設の購入や賃貸、連邦政府の法律やプログラムの管理など、公共生活のさまざまな分野において、障がい者を差別から保護する法律。障がい者を保護し、彼らのアクセシビリティと平等を促進するオーストラリアの主要な法律です。
DDA は誰を守るのか?
DDAは、身体障がい、知的障がい、知覚障がい、神経障がい、学習障がい、心理社会的障がいなどの永続的な障がいや、病状、病気、怪我などの一時的な障がいを持つ人々を含む人を保護するものです。この法律は、過去、現在、将来発生する可能性のある障がい、および想定される障がいを対象としています。また、親、友人、子供、同僚など、障がい者と個人的につながりがあったり、影響を受けたりしている人が、障がい者との関係に基づいて何らかの差別を受けた場合にも保護されます。
DDA はまた、以下のような要因による差別やハラスメントに対しても適用されます。
- アシスタント、介助者、通訳者、朗読者が同伴している
- 盲導犬や聴導犬などの訓練された補助動物の同伴が必要である
- 車椅子、杖、補聴器などの器具や補助具を使用している
障がい者差別禁止法を遵守しなければならないのは誰か?
DDAは、以下の分野で働くすべての人や機関に適用されます。
- 人材採用
- 教育
- 一般市民が利用する施設へのアクセス
- 商品、サービス、施設の提供
- 宿泊施設
- 土地購入
- クラブや協会の活動
- スポーツ
- 政府関連法およびプログラムの管理
DDA はウェブアクセシビリティにどう適用されるのか?
DDA 法によれば、ウェブを通じて情報やオンラインサービスを提供することは、基本的人権であり、法的要件でもあります。ウェブサイトを所有または開発する個人および組織は、合理的に提供できる場合は、この分野で障がい者に平等なアクセスを提供しなければなりません。
これには、以下の分野に関わるウェブサイトや、PDF や文書などのその他のウェブリソースが含まれます。
- 人材採用
- 教育
- 専門サービス、銀行・保険・金融サービス、娯楽・レクリエーション、電気通信サービス、公共交通サービス、政府サービス(連邦政府、州政府、地方政府の議会、部局、機関を含む)を含むサービスの提供
- 不動産の売却または賃貸
- スポーツ
- ボランティア団体の活動
- 政府関連法およびプログラムの管理
ウェブアクセシビリティに関する指針は、ワールド・ワイド・ウェブ・アクセス: 障がい者差別禁止法アドバイザリーノート(最新版、4.1)によって示されています 。アドバイザリーノートは法的要件ではなく、DDA の要件においてウェブ・リソースを所有または開発する個人や組織を支援するためのガイドラインです。法的効力はないものの、この文書は DDA の苦情に対応する際の参考資料として、オーストラリア人権委員会により現在も使用されています。また EN 301 549は、ウェブコンテンツを含む ICT 製品やサービスに対する機能的アクセシビリティ要件も規定しており、公共調達や他の政策や法律をサポートするために使用することができます。
DDA と WCAG
オーストラリア人権委員会は、ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)を、ウェブアクセシビリティに関する最も包括的でテスト可能なガイドラインとみなしています。WCAG は国際的な基準で、アクセシブルなウェブデザインのベストプラクティスを網羅しているものです。
DDA に準拠しないとどうなるのか?
DDA は、障がいを持つ個人に対し、公共生活における障がい差別に対して苦情を申し立て、救済を求める手段を提供しています。障がいを理由とする差別や嫌がらせを受けたと感じた場合、オーストラリア人権委員会のオンラインフォームから、その経緯を詳細に記した苦情の書面を提出することができます。
その後、双方の当事者によって語られた出来事を調べることで、委員会は調査を開始。ほとんどの場合、調停が行われます。調停は、当事者双方が問題を解決するために話し合う非公式なプロセスです。調停で解決しない場合、苦情を申し立てた人は、オーストラリア連邦裁判所または連邦巡回裁判所に提訴することができます。
一例として、視力障がいを持つ女性が2014年、スーパーマーケットチェーンのコールスに対し、オンライン・ショッピング・サービスのアクセシビリティをめぐって損害賠償を請求。請求者はコールスのウェブサイト上でオンライン注文を完了するのに多大な困難に直面し、この訴訟は連邦巡回裁判所に持ち込まれました。
DDA 準拠のために Acquia Optimize ができること
Acquia Optimize のウェブアクセシビリティ・モジュールは、サイト全体のアクセシビリティを WCAG2.2(およびその後のガイドラインの更新)に照らして診断を行います。
毎回、機械によるテストが可能な問題についてサイトをスキャンし、発生した可能性のあるエラーを確認できるように詳細なレポートを提供。また、ガイドラインに基づいてこれらのエラーに対処する方法について的確なアドバイスを行い、WCAG 2.1のレベル A、AA、AAA に基づいて準拠状況を表示します。履歴センターのレポートを通じ、アクセシビリティ・コンプライアンスの進捗状況を追跡し、証明することも可能。また、お客様にはアクセシビリティに関するトレーニングを提供し、自動と手動の両方の改善方法に精通し、ウェブサイトのアクセシビリティを効率的かつ一貫して改善できるよう、包括的なサポートを行います。
Acquia Optimize はまた、ウェブアクセシビリティへの取り組みを補完するための無料ツールも提供しています。たとえば、ウェブデザインに準拠した色の組み合わせをテストするためのカラーコントラストチェッカーや、透明性のあるウェブサイト方針を示し、ウェブアクセシビリティへの公開ステートメント作成を支援するツールなどもご用意しています。
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