デジタルコンテンツにおける6つのステップ
オムニチャネルマーケティングは一般的な手法であり、チャネルが増えるにつれてあらゆる種類のコンテンツの必要性が高まっていきます。写真、グラフィック、ビデオ、ホワイトペーパー、セルシートはもちろんのこと、360度写真、AR(拡張現実)、音声、VR(仮想現実)を取り入れた新しいタイプのコンテンツもあります。つまり制限というものは存在しません。
ブランドの成熟度やコンテンツへの取り組みによっては、こうした需要の高まりをすでに感じているかもしれません。コンテンツ制作には多大な時間、資金、リソースが必要であり、貴重なアセットの維持、改善、保存のための計画がなければ、そのすべてが失われる可能性があることはご理解いただけるでしょう。
コンテンツの管理に関しては、そのコンテンツがライフサイクルのどの段階にあるかによって異なります。例えば、最近撮影した画像のように需要の高いアセットと、昨シーズンのデジタル広告のように需要の低いアセットとでは、管理方法も異なるでしょう。そのため、デジタルコンテンツのライフサイクルをしっかりと理解することで、常にコンテンツを把握し、投資を最大限に活用することができるのです。
コンテンツライフサイクルとは何か
コンテンツライフサイクルとは、コンテンツが構想からアーカイブされるまでのさまざまな段階のことです。現存するコンテンツも、今後作られるコンテンツも、すべてこれらのフェーズのいずれかに分類されます。
- 企画
- 制作
- 管理
- 配信
- 最適化
- 保管
コンテンツのライフサイクルについて説明するとき、デジタルアセット(コンテンツを構成する写真、ロゴ、ビデオ、画像、その他のクリエイティブ要素)にもコンテンツと同じライフサイクルの段階があることに注目すべきでしょう。デジタルアセット」と「コンテンツ」の違いは微妙ですが、ライフサイクルは同じです。
コンテンツライフサイクル管理の6つのステージ
コンテンツの管理は直線的なプロセスではなく、またコンテンツのライフサイクルも同様です。企画は制作の前にあり、制作は配信の前にあるのは確かですが、すべての段階が決まった時系列に従っているわけではありません。それぞれのフェーズは、独自のコンテンツニーズに合わせて柔軟に変化します。
企画は最初に行うべきものですが、管理や最適化も必要なところに差し込むことができるように、ライフサイクルのどの段階でも企画を立て直すことは可能です。しかし重要なのは、ライフサイクルの各段階を把握することであり、そのためには、それぞれの段階で何が行われるのかを知る必要があります。それでは、各ステージについて見ていきましょう。
1. 企画
コンテンツを作成する前に、その取り組みが正当なものであり、正しい方向に向かっていることを確認するための棚卸しを行いましょう。
既存のコンテンツ(または将来的に考えているコンテンツ)は、全体的なビジネスやマーケティングの目標とどのように結びついていますか?また、その成果をどのように測定しますか?制作に取り掛かる前に明確なコンテンツ戦略を持つことで、優先順位をつけ、迅速に対応し、コンテンツの価値を定量化することができます。
プロセスとツールもまた、企画の一部です。コンテンツ制作に効率性、調整力、正確性、簡単さをもたらすために、適切なテクノロジー、人材、ワークフローを導入する必要があります。事前に計画を立て、クリエイティブや マーケティング担当者と時間をかけて話し合い、既存のインフラで何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのかを理解しましょう。
ヒント:コンテンツを最大限に活用するには、過去のキャンペーンから得たインサイトを必ず活用すること。似たようなコンテンツが過去にどのように利用され、エンゲージされたかを理解することは、次に何に投資すべきかを判断するのに役立ちます。マーケティングテクノロジー(マーテック)ツールから得られるデータや分析を、コンテンツや意思決定に役立てましょう。 |
2. 制作
コンテンツ・ライフサイクルの中で、制作は最も盛り上がる段階です。動画の撮影、写真の撮影、キレのあるコピーの下書きなど、クリエイティビティを存分に発揮するときです。この段階には、プロジェクトやキャンペーンのためのブレインストーミング、実行、コラボレーション、レビュー、コンテンツの承認が含まれます。そこには多くの人が関わり、場合によってはマシーンが関与することもあります。
言ってしまえば、コンテンツクリエイターと人工知能(AI)の連携には特別な価値があります。コンテンツクリエイターがこれまで以上に迅速にコンテンツを構築し、展開するのを助けてくれる、素晴らしく便利な AI ツールが存在します。AI によるコンテンツ生成は、今やコンテンツクリエイターにとって不可欠な手段であり、この能力を見過ごすわけにはいきません。実際 Drupal と OpenAI は協力し、コンテンツクリエイターが ChatGPT を使ってテキストを生成したり、画像を検索して作成したり、製品情報を検索したり、オープンソースのコンテンツ管理システム(CMS)で直接クリエイティブな相談相手として機能するようなインテグレーションが作成できるようになっています。
ヒント:クリエイティブ関連のファイルやコンテンツを探すのに時間がかかることほど、チームにとってイライラすることはありません。日常的に使用するツールを連携させることで、いかに制作を効率化できるか、また、一元管理することで市場投入までの時間を短縮できるか、ぜひ検討してみてください。コンテンツクリエイターがツールやファイルの場所を行き来するのではなく、デザインツールで必要なコンテンツに直接アクセスできるとしたらどうでしょう。そのために、デジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)があります。 |
3. 管理
素晴らしいコンテンツが完成したら、次は何をすればよいのでしょうか?コンテンツライフサイクルの管理段階では、コンテンツの運用に焦点を当て、配信前と配信後のライフサイクル全体を管理します。コンテンツを一定の場所にアップロードして整理し、コンテンツの利用方法を管理するためのガバナンス戦略を策定、今後の利用に備えてコンテンツを最新の状態に保つ必要があります。コンテンツライフサイクルのすべての段階に影響を与え、連携する広範囲な段階といえます。
ヒント:安全で検索可能な場所にコンテンツを集約することで、チームに承認された最新ファイルへの一貫したアクセスポイントを提供できます。これは、ブランドの品位を守り、コンテンツ寿命を延ばし、作成したコンテンツを実際に使ってもらうために非常に重要です。 |
4. 配信
いよいよ苦労して作成したコンテンツを、世界中と共有する段階です。コンテンツを関連会社に送って使ってもらうにせよ、ソーシャルメディアや会社のブログで公開するにせよ、すべてのコンテンツはどこかに送られます。そして、あらゆるチャネルで、関連するコンテンツへの迅速かつ容易なアクセスを提供することが配信の要となるのです。
ヒント:E メールでファイルをやり取りするのは煩わしく、管理も大変です。また、大容量のクリエイティブファイルはメールで送信できないことが多いため、このような配布やコラボレーションの方法に頼っていては、拡張性がありません。ブログ、ウェブサイト、マーケティング E メールに1回だけ使用するためにファイルをアップロードすることも可能ですが、これではコンテンツがどこに送られ、誰がどのように利用したかを追跡することはできません。このようなプロセスを簡素化し、自動化するソリューションを導入しましょう。 |
5. 最適化
ライフサイクル全体にわたって行われるステージである、という点で最適化はマネジメントに似ており、他のステージの一部でもあります。キャンペーンを計画し、コンテンツを開発する前に、おそらく過去のイニシアチブを分析し、最善の道筋を決定するでしょう。配信前、配信中、配信後に、チャネルの効果を測定し、最適化を図ります。そして最後に、既存のコンテンツを終了または復活させる前に、それが良い決断かどうかを評価します。
ヒント:最適化には分析が不可欠です。あなたのコンテンツがいつ、どこで、なぜアクセスされ、世の中でどのような成果を上げているのかを理解するために必要なインサイトを、使用するマーケティングツールから得られるようにしましょう。また、学んだことをどのように応用できるかをクリエイティブに考えてみましょう。トップクラスのパフォーマンスを誇るコンテンツがある場合、その既存のコピー、画像、動画、クリエイティブをどのように別の用途に転用できるでしょうか?コンテンツの価値を最大限に引き出すために、コンテンツを再構築し、再利用するのです。 |
6. 保管
多くのチームは、コンテンツライフサイクルのこの段階を忘れてしまっています。コンテンツの保存やアーカイブは、ライフサイクルにおいて欠かせないものです。近い将来必要でなくなったコンテンツは、記録用または将来使用するために保存しておきましょう。
アーカイブ(コールドストレージ)は、アクティブストレージよりも低いコストで非アクティブコンテンツを保管することができます。また、ファイルをアーカイブに移動することで、コンテンツリポジトリを乱雑にせず、最新のコンテンツのみが使用されるようにし、非アクティブなコンテンツを必要な時まで安全に保管することができます。
アーカイブに追加するものは、すべて古いものである必要はありません。新しいコンテンツの作成に使われた大容量のファイル(生のビデオ映像や最近の写真撮影の未使用写真など)をアーカイブすることで、スペース、コスト、時間を節約することができます。アーカイブは戦略的に使いましょう。アーカイブはコンテンツの廃棄場所ではなく、いつでもコンテンツやアセットを復活させ、後日リユースしたり再活用したりすることができるのです。
ヒント:どのアセットをアーカイブに入れるべきでしょうか?これは非常に難しい質問です。その答えは、ブランド戦略、会社の方針、そして個人的な好みに左右されることが多いでしょう。古いロゴはブランドの歴史的変遷を示しますが、すべてのファイル形式を保存する必要はないかもしれません。キャンペーン関連のファイルは、昨年何をしたかを思い出すのに便利です。重要な文書は、過去の方針、詳細、コミュニケーションを参照するのに役立ちます。 |
DXP がもたらすコンテンツライフサイクルの魔法
コンテンツライフサイクルが一貫したプロセスでないように、デジタルエクスペリエンスもまた、複数のツールが連動して動いています。DXP は、ブレインストーミングから購買行動に至るまで、コンテンツライフサイクルのすべてを支援するソフトウェアツールの集合体です。Acquia DXP はコンポーザブルであり、企業が必要とするすべての機能を統合したソリューションを積み重ねることができます。いくつかの事例をご紹介しましょう。
Drupal と Acquia DXP
Acquia DXP は、Drupal のオープンソース基盤の上に構築されており、これによってコンポーザブル DXP の存在が可能になっています。アクイアでは「○○する自由」という表現をよくしていますが、Drupal は DXP にソリューションを積み重ねる自由を与えるきっかけとなるものなのです。
Drupal のコンテンツ管理システム(CMS)は、デジタルエクスペリエンスに関連するすべての中心的な役割を果たします。Drupal に最適化された Acquia Cloud Platform は、ウェブサイトやアプリケーションのホスティング、作成、管理、デプロイ、管理を行う拠点です。このプラットフォームから各所へ枝分かれし、一貫したデジタルエクスペリエンスを実現します。
デジタルアセット管理(DAM)と製品情報管理(PIM)
Acquia DAM と PIM は、デジタルアセットと製品情報を管理するシステムです。グローバル企業は世界中で一貫したブランディングを行う必要があり、これらのソリューションは、ビジュアルであれ文章であれ、顧客と接するブランド・コンポーネントを管理する手間を省きます。
顧客データ管理(CDP)
企業には数えきれないほどのチャネルやソースから顧客データが集まってきます。データの傾向を素早く分析し、行動に移せるかどうかが、情報に基づいたキャンペーン実施の鍵となるでしょう。そのような情報が異なるシステムに分散している場合、それを収集し分析することはデータの混乱を招きかねません。Acquia CDP は、すべての顧客データを一元化し、固有の顧客行動プロファイルを360°ビューで作成し、人工知能(AI)と機械学習(ML)を使用して膨大なデータセットをふるいにかけ、継続的な戦略に役立つトレンドを常に特定します。
オープンな DXP で独自のカスタムソリューションを構築できることは、健全なコンテンツライフサイクルの鍵を握っています。システムが連携すれば、コンテンツのライフサイクルを担うチームの不明点やボトルネック、サイロが解消されるでしょう。テクノロジーにその役割を任せ、適切なコンテンツ生産体制で安定したデジタルエクスペリエンスを提供することに集中しましょう。
コンテンツのライフサイクルはどこで終わるのか
植物や動物と同じく、コンテンツにも寿命があります。油断していると、コンテンツがそれぞれのサイクルの中でどの位置にあるのかわからなくなり、コンテンツがカオス状態に陥ってしまう可能性があります。適切なプロセスを作成し、適切なツールを使用することで、コンテンツは常にチェックされ、最良の状態を保つことができるでしょう。
デジタルエクスペリエンスを成功に導くためには、多岐にわたるコンテンツのライフサイクルをサポートする適切なツールが不可欠です。Acquia DXP は、アイデア出しから実行まで、コンテンツを効果的にするために必要なすべてのツールがそろっています。こちらよりぜひデモをご予約ください。